Coatings of semi-bright nickel and bright nickel over a copper layer on ABS plastic Coatings of semi-bright nickel and bright nickel over a copper layer on ABS plastic

自動車部品の多層コーティング検査

今日、自動車業界は美観と機能性向上のため、部品に各種の表面処理を施しています。このような多層コーティング試料の品質検査のために従来用いられてきた手法は、非常に時間がかかるだけでなく、欠陥を見逃す可能性をはらんでいました。そこで考え出されたのが、ターゲット断面試料作製装置と光学顕微鏡を組み合わせた新しいアプローチです。これにより作業速度と信頼性の面で新たな可能性が開けます。

Atotech Spain 社で検査室マネージャーを務める F. Javier Ruiz Balbas 氏が、自身の体験をもとに新システムについて説明します。Atotech は、PCB(プリント基板)や先端包装材、半導体の製造、各種素材表面の装飾 / 機能性仕上げに用いられる特殊化学製品、機材、そしてサービスとソリューションを提供している企業で、その分野では世界有数のサプライヤーのひとつに数えられます。

貴社の品質管理部門のワークフロー、それにあなたが直接携わっておられる仕事の内容を簡単に説明していただけますか?検査するのはどのような欠陥ですか?どのような種類のコーティングを検査しているのですか?

Ruiz Balbas 氏:Atotech Spain で検査するのは、欠陥が見つかったとして届けられる部品がほとんどです。受け取った試料に切断カットや研磨などの金属組織学的な標本作製を行い、後続の検査に備えます。検査に適した試料が完成すると、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡を使って検査を始めます。私たちが行う作業の基本は、銅やニッケル、クロム、亜鉛、金など金属の析出が原因で発生する表面欠陥の金属組織学的検査と測定です。

図 1:F. Javier Ruiz Balbas 氏、Atotech Spain 社の検査室マネージャー

検査において、特に難度の高い課題は何でしょう?

Ruiz Balbas 氏:私たちのワークフローの一番の課題は、欠陥に関する情報を、最短時間で最大限入手することです。

図 2:Ni/Ni/Cr を被覆した黄銅合金。下から半光沢ニッケル(Ni)、光沢ニッケル(Ni)、最表面上部のクロム(Cr)めっき層。試料はライカ EM TXP を使用して作製。写真提供:Atotech Spain

図 3:ABS 樹脂表面のに被せた銅被膜に、半光沢ニッケル層と光沢ニッケル層をめっき。写真提供:Atotech Spain

新しい素材の開発に関連して自動車関係の品質管理(QC)に対する要求が変わってきたと聞きますが、具体的にどのような変化が見られますか?

Ruiz Balbas 氏:自動車業界では持続可能性があらゆる面で絶対の条件とされます。求められるのは、CMR 作用(CMR=発がん性、変異原性、生殖発生毒性)がなく、物理化学特性が高く、なおかつ CO2 排出削減に寄与する製品です。そうした点を考慮して Atotech は 10 年以上にわたり、年間売上高の 10% 相当を研究開発と材料科学のために投じてきました。私たちが自動車業界から表面処理分野の優良パートナーとして指名をいただくようになったのは、そうした努力が報われた結果です。

貴社の品質管理は、他社とはここが違うというところを教えてください。

Ruiz Balbas 氏:金属組織学技術分野の広範な経験知識が、他社との差別化要因となっています。

ライカ EM TXP/DM2700 M システム導入前の、かつてのワークフローはどのようなものでしたか?悩みがあったとすれば、どのような点ですか?

Ruiz Balbas 氏:従来からの試料作製法では、微細な欠陥や細部の観察がむずかしいという難点がありました。多くの場合、試料の取り扱いや試料作製などの過程で紛れ込む人的要素のために、仕上がりにばらつきが生じ、ときには研削 / 研磨プロセス中に試料が斜めになるなどの不都合を伴うこともありました。さらに、試料の取り扱いの過程で試料を樹脂で包埋するなどのために、追加の手間暇とコストがかかっていました。

その点、ライカ EM TXP ターゲット断面試料作製装置なら、制御されたステップ シーケンスにより、材料の切断と研磨を正確かつ能率的に行うことができます。試料作製時の送り速度の指定は μm 単位です。オートモードでの切断と研磨では、加工ツールのステップ送り量を 0.5 μm から 100 μm の範囲で選択できます。以前は、欠陥部を正確に狙い、かつ構造を保持した断面作製、観察がまったくできませんでした。

今は、ライカ EM TXP/DM2700 M の導入によって、断面作製の最初の段階から、試料作製、仕上げに至る全過程を通じて、それが可能になりました。これというのも、EM TXPに搭載された実体顕微鏡により、試料をさまざまな角度から観察できるからです。

ライカ EM TXP/DM2700 M をひとことで言うと、どのようなシステムでしょう。日々の業務体験から得た経験との絡みでお願いします。貴社の QC プロセスに最も役立っているシステムの特長は何でしょう?

Ruiz Balbas 氏:柔軟性と許容性が高く、短時間で高品質の結果が得られます。整合性と再現性の高い試料作製が保証され、正確な試料解析結果が得られるようになります。

図 4:ライカ EM TXP はミリング、切断、研削、研磨などの加工に対応したターゲット断面試料作製装置で、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで観察する試料の作製に使用します。

図 5:材料観察用のライカ DM2700 M 正立顕微鏡、汎用 LED 照明付き

Related Images