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FLIM-FRET による分子間相互作用の解析

分子間相互作用がどのようにして生命維持機能に関わっているのかについての研究が近年盛んに行われています。この研究において FLIM-FRET により多くのことが明らかとなっています。

SP8 FALCON は FLIM 機器の速度に新たな標準を打ち立てるものです。これによってよりダイナミックな細胞内現象の FRET が可能になります。日常的な実験として FRET を行うができます。

Live FLIM-FRET/FmTq2-dVenus融合 EPAC(FRET センサー)発現 HeLa 細胞に UV 分解性保護基が結合した cAMP 処理を行った。UV 照射によりリリースされた cAMP による EPAC の応答を観察した(赤丸が照射部位)。cAMP が結合していない EPAC では mTq2 と dVenus の FRET が起こる。cAMP が結合すると、FRET が起きず mTq2 の蛍光寿命が長くなる。動画記録速度 4 fps、画像サイズ:256×256 画素。カラーバーのスケール(蛍光寿命):ns。Kees Jalink、Bram van den Broek(アムステルダム癌研究所)提供
カルシウムオシレーション/OG488結合BAPTA-AMを処理したHeLa細胞にトロンビン活性化ペプチドを加えるとカルシウムオシレーションが起こる。これをカルシウムイオンがBAPTA-AMに結合することでOG488の蛍光寿命が変化する。
動画記録速度 4fps、画像サイズ:256x256画素。カラーバーのスケール(蛍光寿命):ns。Kees Jalink, Bram van den Broek(編むテルダム癌研究所)提供

すばやく精確に測定

バイオセンサーは代謝状態、シグナル伝達機構、pHや微小環境などの変化を知る上で強力なレポーターです。

SP8 FALCONにより、膜電位変化のように非常に速い現象ですら解析することができます。この蛍光寿命コントラストはSP8の蛍光スペクトルをより強力なものにします。

信頼性と感度を高めた代謝イメージング

自家蛍光は、通常のイメージングでは邪魔者です。SP8 FALCON はこれを価値ある情報に変えました。自家蛍光は、代謝状態、細胞分化、がんの発生段階などレポーターとなりました。

さらに SP8 FALCON では、蛍光標識法が十分特異的でなかったり、生理機能を阻害してしまうような組織ライブイメージングでも蛍光寿命コントラストが得られます。

非生理的条件下(pH 8.5)における哺乳類細胞の自家蛍光。細胞内の NAD/NADH により蛍光寿命が変化します。酸化ストレスの発生により蛍光寿命が短くなります。オリジナル画像のサイズ:512×512 画素。カラーバーのスケール(蛍光寿命):ns。SP8 DIVE と SP8 FALCON により取得した 2 光子イメージング。
Intensity
FLIM

新しい蛍光スペクトル分離

蛍光標識は細胞内の構造を識別する一般的な方法です。スペクトル分離は極めて強力ですが、蛍光スペクトルが接近している場合には使いにくいことがあります。

SP8 FALCON では蛍光の寿命という新しい次元を用いてこの限界を克服しました。これにより複数の蛍光プローブを分離できるようになります。

SP8 の各種オプションと組み合わせれば、さらに自由度が高まります。オプションとしては、白色光レーザー励起光源、音響光学ビームスプリッター、マルチチャンネルスペクトル検出器などがあげられます。

画像:蛍光寿命コントラストで識別される細胞骨格構造。Alexa Fluor 555(緑)でビメンチンを、Alexa Fluor 546(青)でチューブリンを蛍光免疫染色した。これらの蛍光スペクトルは酷似していますが、蛍光寿命の違いにより分離できます。画像のサイズ:512×512 画素。

SP8 FALCON(FAst Lifetime CONtrast)イメージングは高速の蛍光寿命コントラストを実現

SP8 FALCON 顕微鏡は、蛍光寿命イメージング法(FLIM)の速度の限界を打ち破り、迅速な蛍光寿命データ取得の途を開きます。

現在に至るまで、高速なプロセスの蛍光寿命データから抽出される機能情報は、FLIM の技術的な制約のため、取得することが困難でした。FLIM の取得速度は、共焦点顕微鏡による輝度イメージ画像取得よりも 10 倍以上の時間がかかりました。

SP8 FALCON 高速蛍光寿命コントラストイメージングを使用して、適度な速度で細胞内のダイナミックなプロセスを捉えることができます。これらは TCSPC (時間相関単一光子計数法)とデータ処理・解析用のインテリジェントなアルゴリズムを用いて時間を計測する新たな手法により可能となっています。

Alexa Fluor 555 (緑) を含む溶液中の蛍光ビーズ(マゼンタ)を一つの検出器で撮影した画像。蛍光寿命に基づく蛍光分離は様々な速度で可能。例:16 fps (上)、27 fps (ビデオレート、中)、および 83 fps (超高速、下)。蛍光色素分離のために蛍光寿命情報を用いると輝度イメージ画像(グレースケール)よりも著しく大きな利点があります。本動画では、蛍光寿命成分のピクセル毎のフィッティング解析結果を示しています。フレームサイズ:512×64 画素。スケールバー:10 µm。

Phasors機能で蛍光寿命をより簡単に特定

SP8 FALCONのFLIM Phasors機能を用いて解析をすることで、蛍光寿命成分を2次元的に視覚化することができます。 FLIM Phasors機能により、微小環境の変化を追うことや、複数の蛍光寿命情報から成分を選択、FRET効率を求めることができます。 フェーザー FLIM はSTED画像の分解能を向上させます。 また、FLIM Phasors機能によりSTED画像の分解能を向上することができます。この機能を用いることで、低いSTEDレーザー出力でもこれまでと同等の分解能を得ることができます。(Lanzanò et al., Nature 2015)

Alexa555-ファロイジンとH2B-mCherryにて蛍光標識された細胞。 FLIM Phasors機能を用いることで、蛍光波長が近しいAlexa555とmCherryを、蛍光寿命をもとに分離してそれぞれの分布を示すことができる。 提供: Dr. Martin Stöckl, Department of Biology, University Konstanz, Germany.
複雑な試料からの画像取得が容易。マウス胚の高解像度タイルスキャン(タイル 722 個、1.9 億画素)。FLIM データを 4 つの蛍光寿命に分類したもの。画像取得時間:1 時間 23 分、解析時間:1 時間

オールインワンのマルチモードイメージング

FLIM と他の機能との組み合わせは、SP8 FALCON によって従来よりもはるかに容易になりました。これまでは複雑な配線や面倒なファイル転送の作業をこなさなければなりませんでした。しかし SP8 FALCON を用いれば、蛍光寿命情報を共焦点顕微鏡の標準的なワークフローに組み込むことができます。

SP8 FALCON はデータ取得・解析用ソフトウェアである LAS X と完全に統合されています。同時に 4 つの検出器、さらにシークエンスを組むことで最大 10 個の検出器で FLIM を行うことができます。SP8 FALCON は 3D スタック、タイムラプス、さらにはタイルスキャンと蛍光寿命測定を組み合わせることができます。

新しい LAS X NAVIGATOR によって最大 10,000 視野のタイリング画像を取得できるので、興味のあるところを探すのに貴重な時間を費やす必要がなくなり、試料観察の手順が全く新しいものになります。

ワンクリックで必要な結果を入手

LAS X ソフトウェアによって、マウスを数回クリックすることで FLIM を行うことが可能になり、ルーチンのスペクトル像と同様に取り扱うことができます。

顕微鏡観察を種々の手法の一つと位置づけている場合でも、重要な発見があれば直ちにイメージングを開始することができます。

特殊な機能もワークフローの一部として利用でき、自動化も可能です。

ワンクリックで研究を開始:LAS X ソフトウェアによる SP8 FALCON の制御

SP8 FCSにより分子のダイナミクスを調べる

蛍光相関顕微鏡法 (FCS) は定量的な顕微鏡手法です 蛍光強度のゆらぎ情報をもとに、分子の濃度、拡散係数、粘性、分子量、結合定数、光物理的特性などを調べることができます。 FCSとFLIMを組み合わせることで蛍光寿命相関顕微鏡法 (FLCS) 実験をすることができます。 FLCSでは、波長情報から分離することが困難な分子同士の相互作用を観察したり、バックグラウンドによる影響を排除することが可能になります。 STEDを組み合わせることでFCS測定の領域を小さくすることができます。 STED-FCSにより、従来のFCSでは測定が困難とされる高濃度 (>100nM) の条件下においても分子情報を得ることができます

画像上段: FCS測定のグラフ。時系列での蛍光強度の変化(上部)、Atto488の異なる濃度ごとの自己相関関数(下部)を示す。 画像下段:共焦点(左)と3D STED(右)での測定領域を青色で表示。 STEDにより測定領域を小さくすることで高濃度の条件化においても蛍光ゆらぎを測定することができる。
Prof Christian Eggeling, Prof. Enrico Gratton, Prof. Scott E. Fraser, Prof. Kees Jalink

「ライカ SP8 FALCON を精査した結果、あらゆる面で TCSPC 専用の機器と同程度の精度を持ち、さらに直観的なインターフェースと高速処理という特徴があります」「私の印象では、これは機能イメージング分野での大きな変革です」- Kees Jalink 教授(アムステルダム、オランダ癌研究所)

「この新しいライカ FLIM/FCS 機能は応用範囲が広く、驚くほど高速で自由度が高く、使いやすいものです」- Christian Eggeling 教授(オックスフォード大学)

「大抵の FLIM 装置はアタッチメントですが、これは全く違います。真の統合システムであり、極めて強力です」Enrico Gratton 教授(カリフォルニア大学アーバイン校工学部)

「ライカ SP8 FALCON は共焦点と蛍光寿命イメージングを統合した、中核施設で使用できる製品としては私の知る限り最初のものです」- Scott E. Fraser 教授(南カリフォルニア大学ロスアンゼルス校)

上:高い拡張性をもつ SP8(左)、STED 画像(中央)、超解像画像(右)
下:CARS(左)、ライトシート(中央)、マルチフォトン(右)

TCS SP8 ファミリーの一員

SP8 FALCON は、定評のあるライカ マイクロシステムズの SP8 の最新機能です。この機能は、共焦点超解像顕微鏡から STED超解像微鏡に至るまで、様々な研究手法を組み入れるように構成することができます。

ユーザーにとっては多用途性が得られ、投資が無駄になりません。

SP8 のすべての装置は、ユーザーの研究の現状あるいは将来に合わせて自由に構成し、適合することができます。